カウントはドラマーの名刺②~神は細部に宿る~
というわけで前回の続きです。
「ドラムのカウントでそのドラマーの力量がある程度わかってしまう」
ということについて更に掘り下げていきたいと思います。
まずは、以前の記事にも書きましたが、ドラムをうまく聴かせるには、そのドラマーの「パルス」をドラムセットで表現することがコツ、と書きました。
その時に「パルスを打ち出す段階」として、以下のように考えました。
もう一度書いてみますと
①口でカウント(1,2,3,4、1,2,3,4、…)を口ずさむ
②素手で、何かを規則正しく叩く
③棒で、何かを規則正しく叩く
④ドラムスティックで、ドラムの一か所(スネアとか)を規則正しく叩く
⑤ドラムセットでパルスを作る
ということでした。
勘のいい人は気づいたかもしれませんが…曲の入りのカウントを出すときにパルスが作れていないドラマーは、上でいうところの④の段階がクリアできていないのです。
ということはどういうことか…そう、曲に入ってもドラミングにその人の持っている「パルス」が表現されていない状態になってしまいます。
「そんなこと言ったって、カウントは適当にしたって、曲に入ったらちゃんと叩けばいいんじゃないの?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、面白いことにそうはならないことの方が多いように思います。
前回の記事に書いたことを覚えていますでしょうか?
・居酒屋の「突き出し」を食べればそのお店の料理のクオリティがある程度わかる
・熟練した武道家は相手の構えを見ただけである程度の力量が分かる
・面接の試験官は、受験者が部屋に入ってきただけで合否がわかる
などど、音楽に関係ないことをつらつらと書きましたが…
要は
「些末な部分にこそその人の本質が出る」
ということなのではないかと思うのです。
私自身はさして信心深い人間でもないのですが…座右の銘があるか?と聞かれたら、迷わずこの言葉を挙げるのです。
それは、
「神は細部に宿る」
という言葉です。これはもともと建築家の「ミース・ファンデルローエ」という人が言い出した言葉らしく…
「プロらしい演奏とはなにか?」ということを考える際にはまさに核心をついている言葉なのではないかと。
さらに、音楽の世界には「ローディ」という昔でいう徒弟制度が今でもありますが、これもまさに、「第一線で活躍している人の細部を盗む」という点で考えると理にかなったことであるのですね。
えっと…また話がずれてきましたが、要は、
「うまい演奏というのは、カウントまで気を配ってこそうまい演奏であり、そのカウント出しの段階で、ドラマーの第一印象は決まってしまう」
ということなのですね。
なので、屁理屈をいえば、ちゃんと「パルスをドラムセットに打ち出せる」程の実力のドラマーが、わざとカウントだけ適当に出すことも物理的にはできるのでしょうけど…まぁそんなことをする人はいないでしょうね(笑)
ということなのです。
「そんなこといったって、じゃぁどうすればいいの?」
とお思いの人もいると思うので…
次回は
「じゃあどうすればいいのか?」
ということを書いていきたいと思います。
ではでは。