ドラムのコピーの仕方の「本質」を考えてみました

はじめに
今回もドラムの話を。テーマは「ドラムで曲をコピーすること」についてなんですが、その中でも「目に見えるテクニック”だけ”練習しない方が良い」という話。
これは既に方々でいろんな人がいっているので「またその話か…」と思ってブラウザのタブを閉じる前にちょっと待っていただきたいのです。
この言葉の「本質」を今回は考えて見たいと思います。なので別にドラムに限ったことではなく全楽器に言えることかなと思います。
なので今回は「ある程度曲を追えるようになったけど、もっと上手いコピーがしたい」というドラマーのお役に立てばと思います。では本題に。
ドラマーもまた曲の一部…?
まずドラマーが「テクニックだけ練習してはいけない」と語られるときの意味を考えてみます。
これって難しいテクニックを練習することに偏ると基礎のリズムが疎かになり、曲を無視した独りよがりの心地よくないドラムを叩くようになる、みたいな話だと思います(かなりハショリましたが笑)。
もちろん正しい話なんですが誰しもがいう話です(だからもう少しお付き合いください!)。つまりこれってまだドラマー目線の話なんですね。
要は「ドラマーが曲を叩くという目線」から、「曲の一部にドラマーがいる」という目線に変えた方が良いのではないかということなんです。
これはつまり「曲に合ったフレーズを叩こう」とか具体的なものではなく、もっと抽象的な「曲の生まれた”背景”を理解する」という話です。
曲の生まれた”背景”とは?
とはいえ具体的な話もしないと、ブログ記事としていかがなものか?なので例えば曲をコピーする場合を例に取ると2つあります。
①曲を理解する
まず、曲というものは基本的に「音楽以外の”何か”を音楽で表現するもの」です。なので「音楽を音楽で表現する」ものではないです(たまに例外はあるでしょうが)。
すでにこれだけ世の中に腐る程音楽はありますが、その1つ1つが生まれるときにはいろんな「テーマ」があるはず。具体的には以下のようなものを演奏する前に予習するべきなんですね。
✔︎曲が生まれた経緯は?
✔︎歌詞のテーマは?
✔︎コード進行は?スケールは?
✔︎全体の構成のバランスや起伏は?
✔︎歌詞がないインスト曲なら曲が表現したいものはどんなこと?
②作った人を理解する
次に大事なのは、曲を作るのは人間であるということ(これも例外はあります)。なので、その曲のコピーを真剣にするのであれば曲を作った「人そのもの」についても知っておく必要があります。
具体的には以下のようなことでしょうか。
✔︎その人のライフストーリーは?
✔︎体格や顔の系統は?
✔︎性格や考え方の特徴は?
✔︎好きなものや趣味は?
✔︎使っている楽器の変遷は?
以上を踏まえて
そして、この二つを理解した上で「じゃあドラマーとしてこの曲には何が必要か?」を考えて練習なり演奏なりするわけです。
まずこういう視点でコピーをすると演奏にまとまりが出てくるだけでなく、自分がオリジナルを作ったときの説得力が変わると思います。
なぜなら特にメジャーの市場に出回っている曲は一人で全部作ったわけでなく、いろんな人の手を経由して加工されて世に出ているからなのです。
もちろんパッと閃いたメロディーの爆発力は大事にはされていますが、それを曲にしてしあげるまでには細部に至るまでいろんな人の「考え」が入っています。
要はそこはいったん全部横に置いておいて、「曲を生み出した時の状況や気持ちになってみる」ということが大事なわけです。
残念な「コピー」とは?
もう1つおまけのお話を。最近は「有名曲をコピーした演奏」を動画としてあげる人が急に増えましたが、それを見ていると以下のような幾つかのパターンに分かれているような気がします。
✔︎①「カバー」をしている。つまり自分の色に塗り替えて演奏している
✔︎②エッセンスだけ抜き出してうまくコピーをしている
✔︎③コピーをしようとして残念な演奏になっている
①についてはこれはこれで全然ありです。ただどうしても③のような「残念なコピー」となってしまっている場合は真面目な人が多いような気がします。
要は「完全にコピーしようとしてコピーできない」というような演奏です。
なぜコピーできないのか?というと、もちろんプロが使う機材は超高級品ですし、テクニック的に真似できないところもありますし、身体や体力的に再現しづらいところもありますし、究極的に言えば作った人の性格があまりに自分とズレすぎていると難しいこともある。
ただそこを気づかないで真面目に完全にコピーしようとすると、残念なコピーになってしまうわけです。
なので、コピーするときは曲のエッセンスはどこか?ということを頑張って考えて「真似できないところは切り捨てる」ようにすると、うまいコピーの演奏が出来上がります。
そんな人の演奏は聞いていてとても心地よいものであったりします。
終わりに
というわけで今回はちょっと難しい話になってしまいましたので、ざっくりと一言にまとめると「コピーしたい曲があるならその人に完全になりきってみよう!」ということでしょうか。
まぁそれが難しいのはよく承知しているので、「完全になりきれない部分は潔く切り捨ててみよう」というのも「残念なコピー」にならないためのポイントかなと思います。ではでは。