ドラマーが歌えることのメリット④~曲のジャンルによってブレスを使い分ける方法~

はじめに
前回までの3回にわたり、歌とドラムの呼吸について書いてきました。
それを踏まえて…
今回はもうちょっと具体的な使い道を考えていきたいと思います。
ちなみに事前に補足しておきますが、腕立て伏せとかウエイトトレーニングのときにする呼吸法とは常に一致しないと思ってもらったほうがよいです。
例えば腕立て伏せでは、腕を曲げた時に息を吐いて、腕を伸ばした時に息を吸うのが一般的とされているので、ドラミングで考えると、
「スネアドラムを叩くときに息を吐けばよい」という誤解を招きがちですが、
これはケースバイケースで変わってくるということです。
ではいろんなパターンで考えてみましょう。
①バラード
バラードの様な遅いテンポの曲は、歌にせよドラムにせよ、「ブレス」のポイントはたくさん取ることができます。
ドラムでいえば小節頭のバスドラムや2,4拍に叩くスネアを強調したいときにはそこにあわせて息を吐くと、どっしりとした音をだすことができます。
また、フィルイン(オカズ)で曲を盛り上げる直前にも息を大きく吸って吐きながら叩くとすごく歌心たっぷりなフィルイン(オカズ)になります。
②遅めのミドル・テンポ
ジャズ・ドラムの4ビートもこのあたりに分類されるのかなと思います。あくまで「遅め」のテンポなので、呼吸の性質としては、ブレスのポイントが取りやすい①に近いものとなるかと思います。
ただバラードよりはテンポが早いので、呼吸の循環は体内に常にうっすら起きてきている状態になっていると思います。
③ちょっと早めのミドル・テンポの8ビート
私的には一番好きなパターンです。大体イメージとしてはBPM110から150位でしょうか。この辺のテンポからは一定に息を吐いている状態を持続する感じが強くなります。
更に、同じ楽譜でもいろんなニュアンスが出しやすいのもこの辺のテンポだと思います。(なぜならテンポが早すぎず遅すぎず、なので)
④ハードロック系の8ビート
いわゆるBPM180位から220位までの「ドッパン・ドドパン」のパターンです。
このパターンの呼吸で気を付けたいのは、基本パターンは打音自体は③より少ないので、バラードに近いゆったりとした呼吸の取り方に近くなりますが、
フィルイン(オカズ)の時は、16分音符でガーッと詰め込むのでその切り替えを意識しておかないと演奏がぎこちなくなるだけでなく、ミスも起きてしまいます。
なので、フィルインを叩く前は息をたくさん吸って、一気に吐ききる感じでしょうか。
⑤ツーバス
一番の注意点は両足を小刻みに動かすので呼吸がしにくくなるところです。
なので、息を吸うときは短くたくさん吸って、吐くときはゆっくりと長い息にすると、吐きながら両足を小刻みに動かす動きとリンクできるかと思います。
⑥ブラスト・ビート
これは⑤と逆で、両手を小刻みに動かすパターンです。ただ呼吸の性質は似ていて、素早くたくさん吸って、ゆっくりと長い息を吐きだす呼吸になると思います。
わかりやすいのは、パンチングミットにパンチを連打するときの呼吸に似てるかと思います。(パンチほど、強烈には吐かないですけどね…)
おわりに
こんな感じでいろいろ書いてきましたが、これが必ずしも正解というわけではなく、
私がいろいろ試行錯誤してきた結果を書いたにすぎません。
「ただ、テンポが速くなって四肢を早く動かすほど呼吸は逆に大きく取ったほうが楽」
というのは理に適っていると思います。
もしこれを読んで呼吸に興味を持たれたら曲調に応じて呼吸法をいろいろ開発してみると役に立つと思いますよ。
このシリーズ、もうちょっと続きます…
ではでは。