ドラマーの第一の役割は…「歌の邪魔をしない」こと
2020/12/12

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はじめに
今回はドラムの話。
テーマは最近また個人的によく考えている「歌とドラムの関係」なのですが、今回は歌い手が歌いやすいドラムの叩き方について考えてみたいと思います。
バックバンドでドラムを叩く時は、それこそ「歌いにくいドラムを叩くと起用されなくなる」という、それはもうシビアな話になるので…(経験談)。
バックバンドのドラムを叩くときは「歌いやすいドラム」を意識する習慣をつけておくといいかと思います。
では本題に。
音楽は「聴き手ありき」のコミュニケーション

音楽は「聴き手ありき」のコミュニケーションの手段とも言えるので、ちょっと壮大な話ですが「何のためにドラムを叩くのか?」という目的を明確にしておく必要があります。
まず一つ指針として持っておくべきなのは「日本でインストが好きな人は少ない」ということ。
これはお国柄の問題もあると思いますが、要は日本では歌がないと飽きられるわけです…。
私もインストバンドを長年やっているので複雑な気分ですが。
ということは、歌を最大限に聴かせるという役割に徹しないとドラマーとしても希少性を打ち出せずに…他の人に変えられてしまうわけです。
ドラマーの考えている以上に…「叩きすぎ問題」
ここで歌モノを叩くときによくやりがちなのが…自分の手癖で叩いてしまったり、6連符などの音数の多いフレーズを使いたくなってついつい使ってしまうこと。
要はドラマーが「このくらいはいいよね」と思っているレベルでもボーカルにとっては「ドラマー叩きすぎ!」「歌いにくい!」ということになりがちです。
※まぁここまで突き抜けると心地よさすら感じますけど…。
…かといって「フィルインを全く入れない」で、リズムだけ叩いていても今度は「シンプル過ぎる」「つまらない」と言われることも笑。
つまり何が言いたいかというと、この「叩きすぎ」と「シンプル過ぎ」間の絶妙なバランスを狙って行くところにドラマーのその人にしか出せない価値が問われるわけです。
なので、ドラムの名手レベルになると音数の多いフィルインでもスンナリと歌に馴染ませるという神業もできるようになると思います。
歌に意識を向けさせること

以上を踏まえると、ドラマーが叩き過ぎることの問題点は…。
- ボーカルが歌いにくい
- 聴き手の意識が歌に行きにくい
というところにあります。
ここで「2」はどういうことなのか?というと、いわゆる楽器をやっているミュージシャン「以外」の聴き手の場合…楽器の演奏の良し悪しよりも、歌の良し悪しの方が断然わかるということ。
これはおそらく程度の差はあれど、誰しもが歌を歌ったことはある、もっと言えば声を出したことは誰しもあるからなのかなと思います。
曲中でも「人間の声である歌」についてなら、「今音程外した」とか、「ちょっとミスった」とかはわかるのではないかと。
しかし楽器は、実際に自分で楽器が弾けるようにならないと「この演奏イマイチ」とか「今ミスった」とかは分かりにくいものなのです。
極端な話、例えばスマホを見たことのない様などこぞの国の先住民にスマホの説明をしたところで理解してもらうのは難しい、みたいな話です。
つまり何が言いたいかというと…歌が入っている音楽に関しては、絶対に歌を立てたほうがいいのです。ということですね。「聴き手の意識を歌に向ける」とはそういうことです。
究極は…「餅つき」の合いの手
というところで、「じゃぁどうすればいいの?」という話になります。
ただこのさじ加減…つまり、「歌を邪魔しない」かつ「個性を主張する」というドラムは正解はないですし、本当に難しいです。
なので、一番簡単というかイメージしやすいのは、「餅つきの合いの手」です。
餅つきって、餅をつく人とこねるひとが同時にはできないので、ボーカルの隙間にいかに印象的なドラムを入れられるか?というあたりから始めてみるといいと思います。
この「餅つき」の段階ができるようになったら、次は他のパートと絡み合うようにドラムを叩いていければ他には類をみないドラマーになれるかなと。
ちなみにドラマーではないのですが、Xのベーシスト・TAIJI氏はこの辺の塩梅が神業的なベーシストだったと思います。
この曲「WEEKEND」とかもルート弾きがメインですが、歌の隙間に見事にインパクトあるフレーズをたたみ込んでますからね!
おわりに
というわけで今回は「歌を邪魔しないドラム」でした。
どうしても「邪魔」と書くとネガティヴな感じになりますが…「歌を最大限にたてて、パズルのピースの様に組み上げていくのが音楽のアンサンブルなのかな」と思います。
なかなかそれを言語化するのも難しいので、歴史的な名盤・名演をたくさん聴いて学んでいくしかないですけどね…。
ではでは。