ドラミングの「ダイナミクス(抑揚)」は常につけるべき?
今回はドラムの話。テーマは「ダイナミクス」です。つまり演奏の「抑揚」です。
ダイナミクスとは、中学の音楽の教科書に書いてある、f(フォルテ)やp(ピアノ)といった音の強弱というイメージが先行しますが、厳密には「音量の強弱」と「音質の硬さ」という2つの要素、からなる表現方法だと私は思います。
そしてドラムの初級者から中級者へステップアップすろときの「壁」の一つがこのダイナミクスだと考えます。
で、まず結論ですが。
「ダイナミクスをつけるときと、つけないときの使い分けをしよう」ということです。それでは本題にいきましょう。
ダイナミクスは確かに表現力の要ではありますが、いつもつければいいか、というとそうではないと思います。ではつけない方がいいときと、つけた方がいいときで場合をわけて考えて見ましょう。
目次
ダイナミクスをつけない方がいいとき
まず、バンドやセッションメンバーの中に楽器の初級者が複数いるとき。これはこちらが歩みよるしかないので、変に表現力豊かにドラムを叩くとちぐはぐな演奏になったりします。また一緒に演奏する人が初級者でなくても、リズムがあやしい人がいる場合も同様だと考えます。
他には、バンドが爆音系のときのリズムを刻むときとか、同期モノ(打ち込み)のトラックのリズムが細かいとき…などもドラムだけダイナミクスをつけると浮いてしまうこともあると思います(必ずしもそうとはいえませんが)。
ダイナミクスをつけた方がいいとき
これは相当ざっくりいえば上記以外の場合といえるのではないでしょうか。ちょっとまぎらわしいのが、今回の記事でいうダイナミクスは「ワザと演奏を棒読みにする」という文脈で述べています。
なので通常、リズムを叩いているときに「スネアの音を安定して同じ音にする」、などといったことはダイナミクスのある演奏の一要素ということです(紛らわしくてすいません)。
そういうわけで、目指すべきところは「ダイナミクスのある演奏」ができる状態で、あえてダイナミクスをつけないことを選択する、みたいな感じが理想かなと。
ダイナミクスを学ぼう
というわけで今回は字数の都合上、ダイナミクスをつける具体的な方法は書きませんが、その代わりに、ダイナミクスをたっぷりと堪能できる参考音源を2つほど。
①「メッセージ」/中島卓偉
シンガーソングライター・中島卓偉氏の2006年発表のシングルです(ちなみに私はTAKUI名義時代からの大ファンであります)。曲調はポップでありますが、CD音源のドラムは山木秀夫氏。
なので、要所要所に凄まじいダイナミクスのフィルがちりばめられています。すごすぎて全く参考にはなりませんが、ドラムのダイナミクスの奥深さを味わえる名曲です。YoutubeではCD音源の動画はないので気になった方はぜひCDを。
②「チェンバー・ワークス」/テリー・ボジオ
もう一つは、世界最大規模のドラムセットを使うテリー・ボジオ氏の2005年発表のこちらの作品。
www.youtube.com編成はオーケストラと巨大なドラムッセットという他に類を見ない作品でありまして。作風もストラヴィンスキーやブーレーズなどの近現代クラシック調の曲のみ。
ドラムやシンバルで音階をつけるという要素以外にも、1つの楽器からもダイナミクスによっていろんな音色を引き出す演奏は何度聞いても新しい発見があります…でもこちらもすご過ぎて真似はできません笑
というわけで今回はダイナミクスの概論についてでした。このダイナミクスを「あえてつけない」という表現方法、試してみるといろんな発見があるかもしれませんね。
ではでは。