「集団極性化」というバンドメンバー間の心理学的考察について
目次
はじめに
さて今回はドラムの話というよりかはバンドの運営の話。それもバンドを動かしているのが「バンドメンバーのみ」というまだ駆け出しのバンドの方に何か参考になればと。
バンドというのは大なり小なり日々決め事を繰り返し、運営されていくわけですが、ひとりの意思決定で決めていくと反感を買うし、かといって全員人任せなタイプの人間だと事が進まない…。
もちろん前者のように一人の”天才型リーダー”がバンドのイニシアチブをとって成功したバンドもあありますが、バンドはある程度人気が出てくると「関係者」「第三者」「プロデューサー」という外部の視点が関わるようになります。
なのでそれ以前の段階であるところのバンドメンバーだけでバンドを動かしている時期は非常に難しいなと思うわけです。
なのでここまで読んでいただいて、「バンドの運営にモヤモヤしている!」という心当たりのある方は、今回の内容が何かの参考になるのでは。では本題に。
今回のキーワード…「集団極性化」とは?
今回のキーワードは「集団極性化(グループポラリゼーション)」という社会心理学の言葉を軸に進めていきます。
これは要するに「集団で意思決定をする際に起こりうる、個人の意思決定とは違う傾向」のことを指します。そして割とネガティヴな文脈というか、あまりいい意味で用いられることは少ないと思うのですが、「集団で何かを決めるときって、普通に考えたら”おかしな方向”いくことってあるよね」という話です。
集団極性化の具体例は?
というわけでバンドも立派な「集団」。おそらくバンドの決めごとを「自分一人で全部決められたらラクなのに…」と思う時って、この「集団極性化」により、バンドが”イマイチ微妙”な方向に向かっている時なのではないのでしょうか。そこでこの具体例について考えてみたいと思います。
①コーシャスシフト
例えば「月に3本ライブを入れてはいるけど、ライブの予定を入れることが目的となり同じことを繰り返しているだけ」とか、毎週リハーサルはやるけどなんとなくやっているだけ…とか。つまり個人での意思決定よりも「より無難な方向に」進んでしまう事態のことです。
②リスキーシフト
今の停滞した状況を打破するために、PVを作ったり、無料配布の音源を作るためにレコーディング費用を来週までに捻出しよう…とか。つまり、個人の意思決定よりもより「リスキー」な方向に進んで行ってしまう事態のことです。
集団極性化を打破するには?
…こんな感じで集団で決定をしていくことは結構難しいということなわけです。しかしこんな感じのモヤモヤした葛藤の時期をバンド全体で経験することも大切だとは思うので…「上手くいかないから」とすぐにプイっと脱退したり解散したりしてしまうのも少々もったいない。
なので大事なことはまず「バンドの話し合いで起きていることを客観視」したうえでどうするか?なのかなと思います。
芽は早いうちに摘もう
というわけで問題ばかりつらつらと書いても意味がないので、この「集団極性化」の対処法を最後にお伝えしたいと思います。ソースはこちらのサイト「All About」から引用いたしますが、
要するに「集団極性化」でバンドがおかしな方向に動き始めたら、なるべく早い段階で対処、つまり「悪い芽は速く摘もう」ということかなと思います。
ただこのときも悪い芽の原因を追究するとギスギスするので、「よりよくするにはどうしたらいいか?」というスタンスで話し合えるといいかなと。
おわりに
というわけで今回は「集団極性化」について書いてみましたが、例えば3人のバンドだと、「1+1+1」が「3」以上になるのがバンドの醍醐味でもあるわけですね。でもその反面各メンバーの意志と別のところでバンドという「集団」が意志を持ってしまうというところもバンドというチームワークの難しさでもあります。
なので今回はその辺をお伝えできればと思い書きました。ではでは。