楽器初心者が独学する時にオススメしたい「考え方」とは?

はじめに
今回はドラムのお話。私が日頃レッスンの中で気をつけて気をつけてお伝えしていることから、ドラムに限らず独学で楽器をやっている方のお役に立ちそうなことをご紹介します。
なので今回は「〇〇を〇〇するといいですよ」みたいな具体的なお話ではなく、どの楽器にも使えるお話をご紹介していきます。対象は初級〜中級の入り口くらいの自分で練習の方向性がイマイチつかめていない方です。では本題に。
3つのポイント
特に独学でやる場合のリスクは「間違った練習に時間をかけてしまうこと」です。練習時間をたくさんかけると気持ち的には「頑張った」と言うことになっても成果はそんなに出なかったりします。
まぁかく言う昔の私もそうだったんですけど、その時の反省が今のレッスンに活きていたりします。で、ポイントというのは何か?というと、3つあります。それは…
①出来るだけ細かく分ける
②ちょっとだけ負荷をかける
③楽器を触らない時の過ごし方も考える
この3点です。レッスンは決して安くないレッスン料をいただいているので、限られた時間内でいかに成果を感じてもらえるか?ということを考えた末のこの3つのポイントなのです。
それでは一つづつお伝えしていきます。
①出来るだけ細かく分ける
これはいわゆる「スモールステップ」と呼ばれるやつで、めちゃくちゃ大事な考え方です。要は誰だって今すぐにもプロドラマーみたいにうまくなりたいとは思いますが、現実はそうはいきません。
そんな時に「これからこなしていくべき課題をどれだけ細かく分けていけるか?」が大事になります。例えば「〇〇という曲をコピーしたいけどできない」という時に、そのできない部分だけをひたすら繰り返す、という練習方法だけだとスモールステップとしては少々「荒い」のかなと思います。
「できないフレーズがある」という現象をもっと細かく見ていくと、身体の動かし方の問題に行き着くことが多いです(もちろん音楽の知識的な不足もありますが)。
なので例えばドラムの下半身でいうなら「できないフレーズがある」→「下半身の動きがぎこちない」→「足の裏の感覚が鈍くなっている」という感じに細かく分けていくことが大事なんですね。
②ちょっとだけ負荷をかける
で、この細かく分ける「スモールステップ」のいいところは、課題を細かく分けているので、ちょっとだけ負荷をかけられるというところなんですね。
例えば、初心者にDREAM THEATER(知る人ぞ知る難しいバンド)の難曲をコピーしろ!と言ったらそれは大きな負荷です。
でも「Aメロのパートのここの部分を叩くためには、パラディドルの手順を練習しないといけない」→「だったらまずは右手で2回叩く練習をしないといけない」→「だからまずは、指の使い方を練習しないといけない」このように細かいところまで落とし込むと、道筋が見えやすいんですね。
(これはあくまで例えなので、初心者が簡単にDREAM THEATERの曲を叩ける、ということではないので…悪しからず。)
そして心理学では有名なお話ですが、人間はちょっと負荷をかけられたくらいの方が、成長しやすいということなんですね。「発達の最近接領域」とか言いますが、余裕でできることばかりやっていてもレベルアップは難しいんですね。
③楽器を触らない時の過ごし方
あとはおまけなんですけど、多分大半の人は楽器を触らない時の時間のほうが多いでしょう。
仮に自宅に防音のスタジオがあるそんなうらやましい環境のドラマーとて、年がら年中ドラムを触っているわけではないと思います。それなのでドラムを叩いていない時間のほうがむしろ大事だったりするんです。
ただここで「じゃぁ、TVを見ながら練習パッドで練習しましょう」とかいう普通の話ではないんですけど、要は練習パッドすら叩かない時にも人間は上達していると私は思います。それは脳の中で動きの回路が少しづつできているのではないかと思うからです。
要は「寝かせる」というとわかりやすいですが、ドラムを定期的に練習すると無意識的にその時の動きを繰り返しているのではないかと思うのです。
久しぶりに叩いて「あれ前よりできてるな」と思う時はそれが起きているのかもしれません。かと言って、ドラムを叩かないでうまくなろうという考えはダメですけどね笑。
なので、レッスンではドラムを叩かない時の過ごし方なんかもたまにお話しています。実際に「音楽の聴こえ方」が変わってくるので、音楽を聴くだけで頭の中でイメトレもできるようになってきますし。
おわりに
というわけで今回一番言いたかったことは、「細かく分ける」「ちょっと負荷をかける」ということです。もちろん多大な負荷をかけるのが好きな人もいるかもしれませんが笑、今回の内容はあくまで趣味として楽器を楽しむ人前提の内容なので。
楽器を極めたい人はこれと全く別の修羅の道が待っています笑。ではでは。