ドラムの「だまし絵」である「メトリックモジュレーション」の一番簡単な練習法をご紹介!

はじめに
さて今回もまたドラムのお話。
今回はあらかじめマニアックなお話になることをお断りしておきますが…テーマは「メトリックモジュレーション」という何やら聴きなれない言葉について。
これはいわゆるドラムにおける「だまし絵」みたいなテクニックでして、「一瞬、ドラムだけテンポが変わったように聴こえるテクニック」のことです。
…こう書くと何やら難しいテクニックで実用性が内容に思えますが、意外と普段の曲を叩くときにも使えたりします(よーく聴くといろんな曲に使われています)。
特に曲の中で8~16小節程度の短いドラムソロを振られたときに、トリッキー感を演出するのに抜群の効果を発揮します。
なのでフレーズの中にトリッキーさを追求したいドラマーの方には何かの参考になるかもしれません。
あと数学が好きなドラマーにも面白いトピックだと思います。では本題に。
メトリックモジュレーションとは?
まずは概要をお伝えしますが、メトリックモジュレーションとは簡単にいえば「音符の再分割」のことです。
例えば、四分音符を三連符で三つづつに分けると4拍子の一小説つまり4泊ではではこうなりますね。
パターン① 123 123 123 123
これを4つづつとるとこう変わります
パターン②1231 2312 3123
…ただ、これがなんでドラムでいう「だまし絵」なのか、イマイチピンとこない方もいると思うので、ここからは算数のお勉強です笑。
仮にパターン①と②の時の一拍の音の長さを30とします。するとパターン①の三連符一つの音の長さは30÷3=10となります。
それをパターン②で4つづつに組み直します。そうすると、パターン②の一拍の長さは、10×40=40となります。
つまり元々は一拍の長さが30だったリズムが一時的に一拍の長さが40になる、つまり、4/3倍長くなるということです。
すると実際のテンポはどうなるか?
例えば、一拍の長さが2倍になればテンポは1/2倍になるという反比例の関係を考えますと。
このパターンの場合だと、テンポは3/4倍だけ遅くなる、例えばBPM120のテンポなら、120×3/4=90に一時的に遅くなるわけです。
…さて、算数嫌いな方には申し訳ない説明をしましたが、間を全部すっ飛ばすなら、メトリックモジュレーションを使うと一時的にドラムだけテンポを変えることができるということができるのです。
これを極めていると、一拍を5個に分割して4個づつとって…というマルコミネマンのような職人技の世界に入っていくわけですが(このDVDハマってたなぁ…懐かしい)。
このブログではあくまで普通の曲への適用ということでやっていきたいので、冒頭にも書いたように今回は短い小説のドラムソロや、フィル(オカズ)というて使える一例をご紹介したいと思います。
お手軽に使える!にせシャッフル
というわけで、このメトリックモジュレーションの世界は追求すると本当に奥が深く、難易度を上げすぎると聴いてる人には「ふつう」に聴こえるので、すぐに使えるテクニックの一つ、通称「にせシャッフル」をご紹介。
これは先ほどのパターンの逆でして、こんな感じの普通の16分音符
1234 1234 1234 1234
これを、3つずつとります。すると、
123 412 341 234 123…
と、なります。
つまり4拍子の中にシャッフルのはねたリズムが一瞬登場するわけです。こちらは動画でご覧ください。
ドラムソロに抜群の効果を発揮する「偽シャッフル」。メトリックモジュレーションの一番簡単なやつです。#ドラムレッスン pic.twitter.com/IBah7I2hPg
— Hazime (@kah35sx) 2019年4月15日
おわりに
というわけで今回はメトリックモジュレーションの仕組みをご紹介しました。
なかなか歌ありきの音楽では使いづらいお話ですが、ドラムソロではかなり使いやすいテクニックだと思います。
後はインストバンドや、ジャムセッションなどでも効果を発揮します。何よりリズムと人間の感覚ということを考えるととても興味深いお話だったりしますね。
なので気になった方は是非ご自身のドラムに取り入れてみてはいかがでしょうか。ではでは。