ドラムとミニマリズムの関係について…心理学用語の「クリアリング」をキーワードに。
さて今回は少し抽象的なお話。改めましてこのブログで伝えたいメッセージの一つに「ミニマリズムや心理学を使うと楽器の上達にとても役に立つのではないか」というコンセプトがあります。
ミニマリズムといっても、「何にも無い部屋で生活しましょう」とか、「私服は5着まで」とか、そんな極端なものではないのですが。実践は伴わなくてもあくまで思想的な部分ですね。
ただこの「ミニマリズム」考え自体が「あぁ、部屋の断捨離でしょ?」程度の認識でしか世間に浸透していない実感はありますが、
楽器とミニマリズムの関係に目を向けてみると、古今東西の楽器の「名手」たち(”プロ”という言葉の定義は多義的なのでこのブログではあえてこの表現を使います)は知らず知らずのうちに実践している様な気がしてなりません。
また、ミニマリズムはこれまでの既存の学問(哲学や心理学などの人文系学問)や宗教で説明しきれるのか?ということも考えてきましたが、互いに重なる部分は確実にありますが、一つの学問や宗教などで一義的に説明出来ない不思議な概念でもあると思います(だから魅かれる部分があるのですが)。
そういうわけで今回のキーワードは「クリアリング」です。ドラムをする上でこのクリアリングの概念から学ぶことは沢山あります。
ここで「クリアリング」という聞きなれない単語がでてきましたが、
クリアリングとは心理学の用語で「今ここ」に集中するために、一度自分の中の感情を棚上げすることを指します。つまり簡単に言えば「今ここ」に集中するためには過去や未来などに向けられた思いを一旦掃除というか、棚上げしましょうということなのです。
「クリアリング」の例として、私がよく拝見しているプロコーチの宮越大樹氏の動画を貼っておきます。
www.youtube.com
で、ミニマリズムとクリアリングが直接述べられている記事はあまり見たことがありませんが、両方に共通していえるのは、頭の中も部屋の中もゴチャゴチャしている状態では新しいクリアなものは入ってこないということだと思います。
で、「これが今回の記事と何の関係があるのか?」ということなんですが。
ドラムを少し続けると、いろんなことができる様になってきて、曲の中に色々なことを詰め込みたくなってきたら…ちょっと要注意の時期かなと。
ただし私はシンプルな演奏至上主義ではなくて、大事なのは「基本」と「応用」のバランスだと思っています。ただし大切なのは、曲につける演奏を徐々に複雑にしていくにしても大切なのはその「順序」かなと。
つまり具体的にどういうことか?改めてドラムを例に書いてみます。
コピー曲は元の演奏テイクがあるので大体の青写真は見えますが、オリジナルを叩くとき、つまり簡単なデモなどで渡されたオリジナル曲にドラムをつけるときに、このクリアリングが大切となってきます。
つまり、まずはドラムをつける手順として、「めちゃくちゃシンプルでオカズもない様なリズムパターン」だけのドラムで演奏してみるというステップをまず入れるべきなのです。
これが、ドラムで言うところの「クリアリング」です。そうしているうちに、「ここはもっとフィルを入れたほうがいいな」とか、「ここはもっとリズムパターンを複雑にしたほうがいいな」とか、「ここはポリリズムが乗りそうだな」とか、「付け足せそうな応用の要素」が感じられてきます。
ただ世の中そんなには甘くはないので笑、この段階で浮かんでくる「付け足せそうな応用の要素」は自分がかつて練習して出来ることしか浮かんではこない、と思ったほうがいいでしょう。
なので、テクニカルな練習もしつつ、新しい曲に取り組むときはまずその曲の一番シンプルなパターンをなぞって、ドラムパートを「クリアリング」してから、徐々に肉付けをしていくといいかなと思いました。
ではでは。