映画を何か見たいけど…見たいものが見つからないミニマリストにおススメな作品
今回はミニマリストなお話。私の中で「一昔前の邦画をたくさん見る」ブームがひと段落したので今日はミニマリストが見て面白い(であろう)邦画をご紹介。今回はこちら。
というわけで今回は「映画が見たいけど何を見たらいいかわからない状態」という方のお役に立てばと。なお受け取り方によってネタバレになりかねるので、この時点で読み進めるかご判断ください…。
まずざっくりと紹介。橋本愛さん演じる主人公の田舎での生活が四季別に四つの短編として収められています(前編は夏と秋、後編は冬と春)。ストーリーは親子間の葛藤など、なかなか深刻な感じも漂わせつつも、その要素は前面には出ずにとても控え目。あくまで田舎での暮らしが穏やかに淡々と流れていきます。
そう、端的に言えば「主人公の田舎暮らし」を淡々と眺め続ける映画なのです。
しかしこの「擬似田舎暮らし体験」という鑑賞のスタイル(?)を、映画のひとつの楽しみ方として提唱したいと。なので、この作品の様にストーリーが前面に出てこない方が緩い感じで田舎暮らしの時間の流れ方を体験できるのではないかと思います(多分ミニマリストって都心にいても田舎で暮らしたい人多そうなので)。
そして率直に思ったのは、舞台のスーパーまで1時間かかるような限界集落っぽい田舎では、「とにかく手間がかかる」。
例えばつくしの佃煮を作るシーンがありますが、あれだけ下ごしらえと調理に時間と手間がかかっても食べ終わるのはアッと言う間。
都市部ではスーパーでお惣菜を買ったら一瞬で済むことをこの様に手間暇かけて行うという田舎の時間の経ち方は、たとえその場にいなくても見ているだけでも心地よいものです。
また、「疑似田舎暮らし体験」の良さの他の要素として、「人の少なさ」も挙げられます。人が少ない田舎ゆえに、他人をしっかりと人の存在として認識できる、みたいな。(まぁ逆にこの人間関係の濃さが田舎暮らしのデメリットとしてやり玉にあげられたりもしますが…)
これに対して都心にいると、自分もその1人なのに人が虫けらのようにわらわらしてて、人が多いだけでうっとおしく感じることがあるのは、感性を研ぎ澄ますという点ではよろしくないと(音楽をやっている人間としても…)。
ちょっと話がそれますがNLPという心理学の流派では「アップタイム」「ダウンタイム」という言葉があります。「アップタイム」は意識や感覚が外に向いている状態で、「ダウンタイム」は意識や感覚が内に向いている状態です。
都心は過剰な人口密度・騒音・電飾・いろんな臭いなど環境の「ノイズ」があふれているのでどうしても「ダウンタイム」の状態で暮らさざる得ないという部分があります(つまり、イヤホンをして、マスクをして、帽子をしてみたいな…そうしないと疲れてしまうので)。
なのでこの作品をぼーっと見ているだけでも田舎の暮らしならではの、人間対人間の関わりも疑似体験できるということも映画のいいところではありますね。
さらに、とにかく出てくるご飯が美味しそうに撮られてます(自給自足で手間暇かけて作ったものが殆ど)。これをみたら新しい食の世界が広がるかもしれません。
というわけで、ミニマリスト的な映画の楽しみ方の一つとして田舎の疑似体験を味わってみるのもいいかなと思います。先日こちらで記事にした間接照明で部屋を暗くして鑑賞すれば人間だらけの東京でもちょっとした現実逃避ができるかなと。
ではでは。