音楽で必要なのは…「違和感」

はじめに
さて今回は音楽全般の話題。テーマは「音楽と違和感」について。
私の好きな日本人ギタリストの一人にペトローズや東京事変、星野源さんのバックもしている長岡亮介さんがいます(過去記事でも書いてます)
そして先日何気なくググってたら「音楽に必要なのは違和感」と言うこちらの記事を見つけました。
https://news.j-wave.fm/news/2016/10/rei-1.html
先日こちらの過去記事で。「音楽に必要なのは緊張と弛緩」と書きましたがこれはいささか抽象的な話かな?わかりにくいかな?と思っておりまして。
そこでこの「違和感」という言葉を用いた方が分かりやすいかな?と思い今回は初心者から中級者にかけての記事を一つ。
楽器を演奏するプレイヤー、作曲や編曲をする人に何かのヒントになればと思います。
なので今回は具体的なお悩み解決の記事ではなく「知っておくときっと役に立つ」そんな記事です。では本題に。
音楽は「違和感」で発展してきた
まず今回何が言いたいか?というと「音楽は違和感で発展してきた」ということ。
昔大学で聞きかじった授業の話を引っ張り出すと、西洋音楽はもともと単旋律、つまり一つのメロディラインの音楽でした。
それが複数の旋律を重ねるポリフォニー音楽になると音の重なりが出てくるわけです。音が重なるという事は今で言う「コード」の原型ができはじめるということです。
この時点でも当時の人たちにとっては違和感だったのではないかと。そしてそのコードもだんだん複雑な響きになっていく。
基本のコードである三和音の上に重ねる音は「テンション」と呼ばれています。つまり「緊張感」を与える音という事ですね。これってつまり違和感の事です。
更に音楽の構造のみならず使われる楽器にも「違和感」が入ってきます。ギターなんかその例で、ギターの歪んだ音をエレキギターという楽器としてしまったわけです。
もともと歪みというのは電気信号が過入力になった時の現象です。いまでは当たり前になっているものも、もとをたどれば違和感そのものです。
更にドラムで言えば変拍子やポリリズムなどですかね。
これは4/4拍子(ないしは3/4拍子)が聴きなれた「普通」のリズムに対して、そこからあえて外す事で音楽のスリリングさを作っているわけです。
ただし変拍子やポリリズムは古くからある民族音楽にとっては普通にありました。このように昔は普通だった事が違和感に転じる事もあるわけです。この歴史の変遷はとても興味深い。
違和感を爆発的に取り入れた歴史的名曲
ちょっとここらで箸休め的に「違和感を爆発的に取り入れた曲」をご紹介。
それがニルバーナの「スメルズ・ライク・ティーンズ・スピリット」です。この曲が看板曲になったアルバム「ネバーマインド」は世界で4000万枚のセールスを叩き出しました。
この曲ってまずはコード進行が「どう理論的に解釈すればそうなるの?」みたいなまさに違和感の塊。
ただ人間は違和感だけだと心を動かされにくいもの。この「違和感の塊のコード進行」に乗っている歌メロはとても自然なのです(でもピアノで弾くと不自然!)。この辺が歴史的名曲たるゆえん。
歌詞も前後のつながりがイビツとか、「アルビノ」「リビドー」「モスキート」など一見して何を伝えたいのか分からなくて…言ってしまえば違和感の塊なんです。
ドラマーも「違和感」を上手く扱おう
というわけで次はドラマーに向けて。
まぁいつもと言ってることは同じなんですけど、まずドラマーは正しいテンポと安定した音色で叩けることを目指した方が良いです。
これを今回の違和感という話にからめていうなら、違和感というのは「普通から外れた状態のこと」。つまり「普通が何なのか分からない」といけないわけです。
これはよく「守破離」と言われますが、まずはしっかりと基礎練習してこの普通の感覚を身につけることが大事。
それができたら違和感を足していくわけです。これも今まで書いてきているのでサラッと書きますがこんな感じ。
✔︎音色をわざと汚くしてみる
✔︎音色をわざとあいまいにしてみる
✔︎リズムをわざとよれさせてみる
✔︎中途半端なところからフィルイン(オカズ)を叩いてみる
✔︎途中に変拍子をいれてみる
などなど。
これがドラムにおいて「違和感を足していく」ということなのですね。
おわりに
というわけで今回は「音楽と違和感」の関係について書いていました。
まぁ平たくいえば「基本をしっかり身に付けた上で崩すこと」が大事ということですね。
最近こんなことばっかり書いてますが、これは音楽に限らず表現活動全般の「個性」というものの本質なのかも、なんて考えてみたり。ではでは。