村上ポンタ秀一さんを偲んで

はじめに
昨日、日本を代表するドラマーの村上ポンタ秀一さんの訃報がありました。
まだ70歳という若さ。まだまだドラムを叩くお姿や、本質をついた名言を拝見したかっただけに残念です。
ポンタさんについては、私もどういった経緯で聴く様になったかははっきりと覚えていないのですが、まだ20代の前半だったでしょうか。
当時私が手数をひたすら追求したりやたらに変拍子ばかり練習したりと、いわゆる「痛いテクニカルドラマー」になりかけていた頃になにかのキッカケでCDを手に取ったと記憶しています。
また当時私の通っていたスクールでもポンタさんの映像の教材を見せてもらったりというのははっきりと覚えています。この頃一度六本木にPONTA BOXのライブにも行きました。
そういうわけなので、当時はポンタさんのいう「ドラムの歌心」とか「呼吸」についてのお話は正直よくわかりませんでした。
もちろん言葉としてはわかるんですかど、当時はテクニックばかり追い求めていた私には全く腑に落ちなかったんですね。
そして月日は流れて。
ちょうど自分が30歳くらいのころ、いろいろうまくいかないことが出てきて一度ドラムをあまり叩かなくなって、それでも知り合いから声をかけてもらい徐々に音楽活動を再開しまして。
その後ミニマリストに開眼してしまい、機材を全て売っ払ってしまいまして(詳しい経緯はプロフィールをどうぞ)そして、友人から誘われてドラム講師になるわけですが。
ここでようやくポンタさんの言っていたことがわかってきたと。
つまり10年越しでようやくわかったんです。
もちろん完全には咀嚼できていないとは思いますが、今でも自分自身のドラムの練習や自分がレッスンするときにも金言として大切にしていることがたくさんあります。
このブログにもときどき書いてはいるのですが、そんなポンタさんに残していただいた金言の中でも、私が特に肝に命じているものを今回はご紹介したいと思います。
ドラムはブレス
やっぱり「ドラムはブレスである」ということを初めて知れたのはポンタさんのDVDでした。
それまでは「呼吸ってどういうこと?空手みたいにスネア叩く時に息を吐くの?」くらいにしか思っていませんでした。
しかしDVDのポンタさんの呼吸は「うぅ〜、、、あぁ〜〜〜うん!」みたいな感じ。
つまり淀みなく流れている感じだったんです。
当時はこれがなんなのかさっぱりわからなかったんですが、後になって2バスを踏み続ける曲に取り組んだ時に「これじゃぁ息が持たない!」と壁にぶちあたりまして。
そのときに「それって呼吸が使えてないのでは?」と思ったんです。
要するに、ツーバスの速い曲って細く長く息を履かないと、手足がもつれるはミスるわ、息が上がるわ…とまさに呼吸が命だったんです。
反対にバラードは真逆で、一音一音丁寧に呼吸を当てがっていかないといけないということも、徐々にわかってきたということです。
ドラムは「ド・チ・パ」
次は「ドラムは、ド・チ・パ」という教え。
つまり「ド=バスドラ、チ=ハイハット、パ=スネア」なんです。
これって要するに、ドラムをまずは口で歌えないと、歌心ある演奏はできないということ。
例えば譜面上では同じフィルインでも「タカトン」と叩くのか「ゥダカヅぅん!」と叩くのかでは全く違ってくるんです。
その基本がこの「ドチパ」なんですね。やっぱりどんなにテリーボジオみたいな巨大なドラムセットでも、基本はこの「ドチパ」です。
折しも、全部機材を売っ払ってこれからはミニマリストらしく3点セットでいこう!と決めた頃だったので、このお話はとても印象深く残っています。
ドラムがうるさい
もう一つは「曲がよすぎて自分のドラムがうるさいから叩きたくない」という名言。
これをドラマーであるポンタさんが言っているところが非常に革新的なお話し。
ドラムってメロディ楽器ではないから、要は曲にノイズを加える楽器なんですね。
なので、無理に入れて曲の雰囲気が崩れるなら入れない方がいいこともあるんです。
ドラムに打ち込みすぎると、どうしても「ドラムのためにドラムを叩く」という視野になってしまいますが、それは違くてあくまで「曲のためにドラムを叩く」ということなんです。
これは決して「ドラマーは控えめにしよう」とかいう事ではなくて、常に音楽全体のことを考えないと良いドラムは叩けないという事なのかなと思いました。
おわりに
というわけで、今回は急遽この記事を書かさせていただきました。
これからポンタさんのドラムに触れてみたい!という方は個人的にはPONTA BOXのベスト盤とかオススメですね。
(アフィリエイトリンクは貼らないので、欲しい人はググってくださいね)
今回ポンタさんの訃報を聴いて、あらためて自分がドラムを叩けることの幸せ、残された時間を大事にしていこうと思いました。
心よりご冥福お祈り申し上げます。