【書評】しらふで生きる【町田康・著】

はじめに
さて今回は書評です。
先日紹介したphaさんの本が面白くて、noteの定期購読に申し込んでみたら、その中の記事で町田康さんのことが書かれていて、気になって調べたらこの本が面白そうだったので購読。
そこで今回はこちら「しらふで生きる」をご紹介します。
一言で言うと、「人はなぜ酒をやめられないのか」と言うことが大半を占めていて最後に「酒をやめるとこんないいことがある」と言うことが最後に少し書いてあります。
著者の町田康さんはバンドマンから芥川賞作家になったと言う経歴の方で、30年間毎日飲み続けたお酒をある日突然やめてそれ以来全く飲んでいないそうです。
で、なんでこの本を読もうと思ったかと言うと私自身はお酒を完全にやめるつもりはありませんが「飲まない方がいい場面」つまり、「翌朝早起きしないといけないのに夕食の時間が遅くなってしまう」と言う場面に飲んでしまうことに困っておりまして。
普通に考えたら飲まない方が寝つきも良くなるし、翌朝の目覚めも良くなるし、起床時の胃もスッキリしている。
…といいことづくめなんですけど、それでも「今日は疲れたから」と飲んでしまう習慣をどうにかやめたいと思っていたので、本書を読んでみました。
まぁお酒に限らず嗜癖物の類は「やるかやらないか」と言う2択であり、このような半端な考え方が甘いのかもしれませんが、この本は単に「お酒をやめる」本の範疇を超えたテーマがその奥に広がっていました。
つまりお酒に限らずですが、人が良くないとわかっていながら嗜癖物を取ってしまうメカニズムから発展して「自分とは何か」「人生とは何か」と言うところまで話が及ぶ本でありました。
ちょっと話が飛びますが、そう言うわけなのでこの本はミニマリスト向けの本なのではないか?とも思ったわけです。
先日のphaさんの本も私はミニマリスト向けの本だなぁと思いますが、つまり「ミニマリスト向け」と言う看板を出していない本でもミニマリスト向けの本がたくさんあると言うことですね。
閑話休題、と言うわけで以下ではこの本の内容に入っていきますので、ネタバレが嫌な方は購入してみてください。
人はなぜお酒がやめられないのか?
まず自分の場合で考えてみると、なんで「お酒を飲みたい」と思うのか?と言うことについては前々から考えていました。
まず、お酒を飲むと「美味しい」し「酔って余計なことを考えなくなる」と言うことが起こります。そしてそれはすぐに冷めて元に戻ります(飲み過ぎの場合は翌日に持ち越すと言う最悪の事態になります)
つまり、飲んでいる瞬間は楽しいけどいずれは元どおりに戻ると言うわけです。そして飲んでしまうとアルコールは体内にしばらく残るので、睡眠の質が下がるし、夜にちょっとPC作業するにも効率が落ちる。
この行為をなんで自分は(人類は)繰り返すのだろうか?とずっと思っていました。そしてこの問いに対する答えが本書にありました。
今は書評なのでかいつまんで書きますが、こんなことが書いてありました。
「人間は自分が幸せになる権利があると思い込んでいる」
「今の時代は楽しんだ人が賞賛される時代」
「そもそも自分は大した人間ではないし、人生はつまらないものである」
「幸せの裏側には不幸が存在する」
…どうでしょうか。ここだけかいつまむとどうにも後ろ向きな答えのような気もしますが、私は後ろ向きには受け取りませんでした。
楽しまないといけない?
つまりこれらのことを自分なりに噛み砕いてみると、一つの答えが。
それは「楽しまないといけない」と思うから「お酒を飲む」と言う負のループに入ってしまうことが、ついついお酒を飲んでしまうことなのではないかと。
これは「楽しいことをしちゃいけない」と言うこととは本質的に違います。「楽しいこと」は大いにすべきだと思います。
例えば一日働いた後にお酒を飲みたくなる心理をこれに沿って考えると、「自分は今日一日我慢して仕事をした」→「だから楽しまないといけない、楽しむベキである」→「手っ取り早い酒を飲む」と言う。
ということかなと。もちろん、お酒は依存性があるので思考じゃなくて脳そのものが欲していることも忘れちいけないんですけど。
この「楽しまないといけない」と言うある意味逆説的な思考がお酒と結びついていたんだなぁと思いました。
明日から実践できそうなこと
この話も含め、先ほどの本書の抜粋を抜き出すと「じゃぁ自分を取るに足らない、楽しみを求めてはいけない人間だと思って卑屈に生きていけとでも?」と思う方がいるかもしれませんが、これも似ているようで全く違うこと。
かといって「身の丈を知ろう」とか「他人と比べないようにしよう」と言うこととも、微妙にかすっているけどちょっと違うかなと。
かといって「それは〇〇です!」みたいに一言で書けるような話でもないんですけど、強いて言えば人間の存在をもっと俯瞰してみよう…みたいな話かな?と。
要は人類が誕生した歴史は宇宙規模ではほんの一瞬だし、そのうち地球も無くなるし、本書にもありましたが「人類が繁栄しなければいけない理由」というのは特にはないんです。
私たちは日々忙しくしているとどうしても「我」の中に閉じ込められているような状態になりがちですが、そんな風にたまには自分をマクロに俯瞰してみてみると…酒とうまく付き合えるヒントがあるかも?なんて風に思いました。
おわりに:お酒をやめる効能
これは以前に勝間和代さんのYouTubeでもありましたが、お酒を飲まないととにかくいいことづくしです。
何より経済的だし、生産性は激増です。
これはもう飲まないに越したことはない…!と思いましたが果たしてどうでしょう笑。
まぁそんな感じのことが書いてある本なので、お酒とほどよく付き合いたい人にはオススメの本ではありますね。
あと著者の町田康さんはバンドマンという経歴もあってか、文章もグルーヴしてます。音楽を聴いているような感じにも浸れますよ。ではでは。