ドラムで大きい音を出したいドラマーは「音抜け」を意識しよう

はじめに
今回はドラムのお話。テーマは「ドラムのパワー」について。
特にロック系のドラマーであれば誰しも大きな音で迫力のあるパワフルな演奏を目指すところ。
もちろんドラムが叩けるだけの健康な身体は必要ですが。
筋力を上げようと身体を鍛えたりする前に、まずは知っておくべきことがあるので今回はご紹介しようと思います。
特に今回はウエイトが少ないドラマーの参考になればと思います。
では本題に。
結論→ボリュームを下げてもバンドに埋もれない音を
今回の結論は「ボリュームを下げてもバンドに埋もれない音」を目指すということ。
レコーディングの経験がないドラマーだったら、プロドラマーが叩いている曲を探すのもあり。
この動画をボリュームをめちゃくちゃ下げて聴いてみてもドラムの音はちゃんと聴こえてますね。
いわゆる「音の抜け」というやつですが、「音の抜け」が悪い状態でいくらパワーを乗せても音楽的な演奏にはならないということです。
トリガーについて
音抜けを考えるときにトリガーについても知っておきたいところ。
爆音系のバンドのドラムにはトリガーがよく使われています。
(ちなみにYAMAHAからはこんな機材も出てます)
これはレコーディングでもライブでも同じです。
トリガーとはドラムの音を均一にしたり、ボリューム自体を底上げしたりするエフェクトのことですね。
なのでトリガーを強くかけるほどにベチベチとした音になります。
しかし音抜けが悪いドラムにトリガーをかけると、それは機械的に作られた音量な分けなので、音の芯がない状態なんですね。
逆に音抜けがいい音にトリガーをかけると、大迫力のドラムとなるわけなんです。
身体を「一瞬張る」感覚
というわけなので、今回のテーマはトリガーに頼らないドラムを目指すようなイメージですね。
では音の抜けをよくするにはどうすればいいか?
それは叩く習慣に「身体を一瞬張る」感覚です。
これは言葉で伝えるのが難しいんですけど、昔合気道で教わったお話なんです。
例えばスネアドラムを叩くとします。
叩く習慣に身体が一本の大木になったようなイメージで、一瞬ピシッと張った瞬間に叩くんです(大木じゃなくてもいいですけど)
ただ間違えやすいのが「身体の張り」と「身体の力み」はごっちゃになりやすい。
手のひらで説明すると「身体の張り」はこの感じ。
「身体の力み」はこれ。
なので全然違うと言うことがわかりますね。
これを手だけでなく全身でやっていくわけです。
ちなみに上半身の重さの割合はこちらのサイトによれば体重の70パーセントとのこと。
つまり体重60キロの人なら40キロもの重さをスネアドラムにかけるイメージです。
(もちろん椅子に座っているのであくまでもイメージですよ)
身体を「張る」感覚を体得するには?
とはいえこの身体を張る感覚を体得するのはゼロベースだと難しい。
そんなときにお勧めしたいのが、モノを叩くスポーツです。
具体的には、野球、ゴルフ、剣道、ボクシングのミット打ちなど。
モノを叩くときは、その瞬間に身体の張りを使わないと力が抜けてしまい思ったような効果が出せません。
野球できれいなヒットが打てた時って特に力んでいないのに遠くに飛んだ、ということは誰しもあるでしょう。
しかもドラムは野球やミット打ちに比べれば全然パワーは不要です。
なのでこれらのスポーツで習得すれば、ドラムにおいては十分なパワーが出せるわけです。
チューニングも大事
あと、一緒に考えたいのがチューニング。
詳しく書くと長くなるのでザックリ説明しますが、身体を張った時のパワーが最大限引き出せるようなチューニングにしないとせっかくの努力も無駄になるということです。
なので打面をパツパツに張ることはやらないし、緩めすぎるとサステーン(音の長さ)が止まってしまう。
理想はミュートなしの状態で、フルパワーで叩いたときに程よく「ドゥーン…」という音の伸びがあることです。
なのでそんなに難しく考えずにあれこれとやってみることをお勧めしますね。
高い機材になるほど色んなチューニングのバリエーションができますが、安い機材はワンパターンなことが多いです。
まずは自分の楽器を知り尽くすことが大事なので、個人練習でチューニングの練習もお忘れなく。
おわりに
というわけで今回は「音の抜け」についてでした。
なんでここまで長々と書いたかというと、ドラムでパワーを出す前に「音の抜け」を考えることが必要だからです。
体重が軽くても筋力がなくても取り組めることなので、是非初心者〜中級者のうちにこの感覚をつかんでいただければと思います。ではでは。