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ミニマルな映画音楽とピアノの相性は抜群という話②~「トニー滝谷」の音楽~

 
  2019/01/23
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この記事を書いている人 - WRITER -
ドラム歴20年以上。都内でドラムレッスンやってます。レッスンを受けていただくと、初日でドラムが叩けるようになります。シンプルライフが大好きなミニマリストでもあります。
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というわけで前回から映画音楽とピアノ曲の相性がいい件について書いてます。
今回も完全にネタバレになるので予めご了承ください。

今回はこの作品、「トニー滝谷」。

原作は村上春樹氏の作品らしいですが、私は一冊も読んだことがないので、この作品がどういう位置づけなのかわかりませんが、こちらの短編集の中の一作品らしいです。

というわけで全くの村上春樹・門外漢の私がこの作品を見ようと思ったのはYoutubeで偶然この音楽を発見したからです。

 

この曲…聴いての通り非常にシンプルですが、見事に作品のストーリーを描き出しています。

まず、キーについて。この曲のキーはFmです。調合的にはフラットが4つです。私のイメージですが、調合がシャープ系のキーの曲ってビビットな情景や感情描写に向いているキーだと思うのです。つまり陰陽でいえば「陽」つまり光の方ですね。対して調合がフラット系のキーの曲ははしっとりとした、曖昧な描写に適している…陰陽でいえば「陰」、つまり「影」のキーだと思います。

またコード進行ですが基本的にはこの4つのコード進行。

Fm→Cm→D♭→E♭

これが淡々と繰り返されます。

しかしコード進行自体はシンプルですが…見事に作品を描写している名曲です。

さっそくコード進行を細かく分けて見てみましょう。

①Fm→Cm

まず出だし。マイナーキーの一番目ののトニックコードから5度上のマイナーコード への進行はより沈んでいく感じをイメージさせます。この作品のテーマであり、そして曲名にもなっている主人公のトニー滝谷の孤独が一層深まっていく感じとリンクしているようです。

②D♭→E♭

ここはFmの平行調であるA♭メジャーのサブドミナントであるD♭からドミナントであるE♭への流れです。この流れはA♭メジャーキーのコード進行の一部なので明るい方向(メジャーキー)へ向かうことを予測させます。

これは幼少期からトニー滝谷が苛まれてきた孤独感が、結婚し家庭を持つことで明るい方に向かっていくことを表しているようです。

しかし曲自体はほとんどこの4つのコードのループなので、A♭に行きそうで、またFmに戻ってしまいます。これは妻に死別されて結婚する前の孤独に戻ってしまうことを意味するように感じられます。

しかもトニー滝谷は、結婚前は自分の孤独を孤独と思わずに、それが当たり前だったのが、結婚して家庭を持つことで「自分は孤独だったのだ」と気付いた後に、妻の死別によって訪れる孤独なので、この冒頭のFmのコードはより深く響きます。

さらにこの作品は映像作品ながら、各場面が小説のページをめくるようになっており、それが中盤から出てくるドの単音で繋がれている部分ともリンクしています。

ドの単音はFmキーのドミナントコードであるCのコードのルート音なので、この映画の背後に緩やかに流れる緊張感のようなものも表しているようにも感じます。

更に作品中で使われているのはほとんどこの曲だけ(他の曲もゆっくりとしたピアノ曲のみ!!)非常にミニマルな作品です。しかしこの手のミニマルな作風って、ともすると単調で退屈になりがちなのですが。

それを完全に覆すように映像と音楽が見事にリンクしております(ついでに言うと短めのトータル時間も良いのかも)。あまり夜遅く一人で見ない方がいいと思いますが笑、これはぜひ一見の価値ありです。

というわけで、二回にわたり映画と音楽とミニマリズムについて書いてみました。

ではでは。

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